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冒険旅行業界の裏側を暴露します

業界の古い慣習などを敵にする作戦です

刹那のwebサイトだよ♪

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TBSが刹那の息の根を完全に止めた


本日は大会に参加してきました。
参加者は14人、普段は6人程度の大会会場なのでちょっとびっくりです(^^;

今日は攻めを重視してデッキを組んでみましたニコニコ
普段はそんなに使わないですが、今回はむしろアニバを基本的に一枚入れる、という方向にしています。
二枚は読まれやすい気もするので無しで(^^;

自分は一回戦からスタート

一回戦
ステージは地上
お相手は覇神の方

こちらのデッキ


MS1:ビルドゴッドマスター(不沈)+BG5Pキジマ、パーツはハロビー(必殺コスト-2)
MS2:TKR1アニバライザー(トランザム、強襲)+TKR4Mザザ、パーツはゼクスの仮面(ダメージ-600、必殺コスト-1)
MS3:TK6Pゴッド(フルドライブ)+TKR5Pソル&セレーネ、パーツはリユースサイコデバイス(必殺コスト-2、スピード+300)

イグニッション:VS1Pナイチンゲール(必殺追撃、2R発動)

BAは1RにGパワー+5、+1、ずっとフルドライブ封じです。
バトルパートナーはミレイナ、Gオーダーは守りを捨てた襲撃を選択しました。


ダリル+F91を意識して組んでみましたニコニコ
アニバゴッドではなく、よりスピードが高いTK6Pゴッドを採用して、ザザを置いてスピバ封じ、キジマに加えて強襲を置くことで、とりあえず殴って落とす方向にしています。
使ったあとに気づいたのですが、これ相手が攻撃スタートでライザー狙われたら意味無かったですね笑てへぺろ


相手のデッキ
MS1:速烈MEPE+アタバ
MS2:武闘+ディフェバ
MS3:装甲+VS1Pアムロ

1R 攻撃フェイズスタート
こちらのゴッド+ソルセレが相手の速烈MEPE+アタバよりも確定で500ほど速く、フルドライブが不発でも先攻なら相手を倒せる状況です。
またゴドマス+キジマは相手の武闘、装甲よりも速いです。

相手は武闘と装甲いずれかが必殺を撃てる程度にはGパワーが溜まっていました。

防御力を0にするスキル持ちのアムロがいることやGパワーの溜まり具合から、1R必殺をしてくると思いました。
これらのことから、まずはゴッド→速烈MEPEが確定、バーストバトルに負けて装甲が発動することや強襲を無効化されるのを避けて、武闘潰しのためゴドマス必殺→武闘へ行きました。
おそらく必殺を撃たれてトランザムが使えなくなることや、バーストバトルに負けても武闘を落とせるように、ライザーはゴドマスのアシストに。
アシカされなかったらラッキー、くらいでつけておきました。

結果は相手のアシカ、ゴッド→速烈MEPE、ゴドマス必殺→武闘、(アシカ)装甲必殺→ライザーに。

ゴッド→速烈MEPEはフルドライブ不発ですがこちらの先攻、クリティカルから撃破しました。
ゴドマス必殺→武闘もこちらの先攻、バーストバトルに勝利して撃破します。
装甲必殺→ライザーはアシカのため相手が先攻、耐えきれずに撃破されます。

こちら2-1あちら

2R 防御フェイズ
相手の速烈MEPEをゴドマスが抜けるようになるために、Gオーダーを発動しました。
これで相手の速烈MEPEはこちらのどの機体も抜くことが出来なくなりましたニヤリ
こちらのGパワーは8、どの機体も必殺コストが6です。
相手はおそらく1Rイグニッションだろうと読んでいたため、このラウンドは不沈が生き残りさえすれば最悪3Rに勝ちが拾えると思いました。
フルドライブが残っているゴッドには当ててこないだろうと思い、武闘と装甲をそれぞれメインにしてライザーとゴドマスに当ててくると読みました。
こちらにはナイチンゲールのイグニッションが残っていたため、武闘にナイチンゲールを当てさえすれば勝てると考えたのでGパワーチャージ、ゴドマスとライザーが必殺を擦って待機しましたニコニコ

相手は武闘メイン、アシスト速烈MEPE必殺→ライザー必殺、装甲→ゴドマスに。

武闘メイン、アシスト速烈MEPE→ライザー必殺はこちらの先攻、必殺からナイチンゲールで撃破しました。

こちら3-1あちら

対戦ありがとうございましたm(__)m


アニバゴッドではなくTK6Pゴッドを採用していたのが上手く作用した感じでした。
アニバゴッドだったら微妙にスピードが足りなくて、1Rに悩んでいたかと思います(^^;
Gオーダーも含めて、ぴたりとハマった感じになりましたニコニコ


二回戦
ステージは森林→地上
お相手は覇神の方

こちらのデッキ


MS1:VS1PユニコーンPS(迅雷)+TK3Pイオ、パーツはハロビー
MS2:マルチフレームパーフェクトカウル(烈破)+TK5Mラフタ、パーツはゼクスの仮面
MS3:TKR5アニバV2(トラブレ、超狙撃)+BG6P刹那&沙慈、パーツはリユースサイコデバイス

イグニッション:VS1CPのX2(必殺追撃、3R発動)

アクションメモリはHP+2000とスピード-1000、アタック+2000とスピード-1000、HPとアタック15%↑です。

バトルパートナーはミレイナ、Gオーダーは共闘の誓いを選択しました。


ユニコーンPSを使いたくて組んでみましたニコニコ
最近ろくに迅雷が出ないイメージがあるので、最新弾の迅雷に頼りたくて(^^;
マルチフレームは不沈にするか烈破にするか悩みましたが、何か反撃アビリティがいそうな予感がしたので烈破に。
飛び道具を含めて、耐久を持たせながらもアタック増しにしておきました。
イグニッションはナイチンゲールかと悩みましたが、全体的なコストの重さやトラブレが不発しやすいことを考えて、3R発動のものにしています。


相手のデッキ
MS1:闘気+アタバ
MS2:トラブレ超狙撃+ディフェバ
MS3:閃烈+ザザ


1R 防御フェイズスタート
反撃アビリティがいない‥ガーン
スピバが封じられたことで、刹那&沙慈が的になる展開に。
刹那&沙慈に闘気かトラブレが来るかと思われますが、こちらにはディフェバがいることから、相手としては無理にバーストバトルを仕掛けて来ないだろうと考えました。
また迅雷は封じられていないことやアタックが上がっていることから、迅雷は外されると思いました。
こちらがアシカしてユニコーンPSが相手のディフェバにいっても、ナチュクリが出ないかぎり残りそうな感じでした。
そのため、おそらく闘気必殺→V2、閃烈メイン、アシストV2→Pカウルに来るだろうと読みました。

ここで無理に攻めても、大して削れずに次の攻め手が欠けるだけだろうと思い、Gパワーチャージを選択、待機しました。

相手は読み通りに、闘気必殺→V2、閃烈メイン、アシストトラブレ超狙撃→Pカウルに。

闘気必殺→V2は相手の先攻から撃破されます。
閃烈メイン、アシスト→Pカウルも相手の先攻、閃烈で攻撃は封印されます。

こちら0-1あちら

2R 攻撃フェイズ
相手はおそらくイグニッションにナイチンゲールがあると思い、耐えるためにGオーダーを使います。
互いにGオーダーを発動、こちらは共闘の誓い、相手は偽りの説得を発動します。
そこから互いに超狙撃、まずはこちらが発動してザザを8割ほど削りスキルを消します。
相手はPカウルを狙い、1000ほどのダメージを受けました。

相手の闘気を抜けるのが迅雷のみだったため、とりあえず迅雷→闘気に。
相手は闘気を擦ると、必殺を撃てるのが閃烈だけでした。
HPや防御レベル的に、Pカウルなら閃烈必殺からナイチンゲールを撃たれても耐えて、烈破で返せると思いました。
しかし相手のディフェバを抜くにはトラブレを発動させるしかなく‥
悩んだ結果、V2メイン、アシストPカウル→トラブレ超狙撃に。
アシカされたらPカウルが返しで閃烈を撃破、しなければV2が先攻からトラブレを確実に発動して撃破出来ると思いました。
相手はGパワーチャージ、闘気と閃烈を擦っていました。

ユニコーンPS→闘気はこちらの迅雷発動から撃破しました。
V2メイン、アシストPカウル→トラブレ超狙撃はこちらの先攻からトラブレで撃破しました。

こちら2-1あちら

3R 防御フェイズ
こちらのGパワーは15に。
とりあえず相手は、こちらの耐久的にも闘気必殺→V2はほぼ確定だと思いました。
あとはトラブレを出さないとこちらを抜けないので、トラブレ超狙撃、アシスト閃烈→烈破だと読みました。
こちらにはイグニッションがあるため、必殺を当てさえすれば勝てると思い、ユニコーンPSとPカウルが必殺を擦ってアシストカットで待機です。
相手は読み通り当ててきてアシカ成功、闘気必殺→V2、トラブレ超狙撃→Pカウル必殺、(アシカ)ユニコーンPS必殺→閃烈に。

闘気必殺→V2は相手の先攻から撃破されました。
トラブレ超狙撃→Pカウル必殺は相手の先攻、ここでトラブレさえ出なければイグニッションで勝てる‥からの相手のトラブレえーん
撃破されて終了です。

こちら2-3あちら

対戦ありがとうございましたm(__)m

読みは良かったと思うのですが、如何せんデッキ構築の時点でダメだったような気がします。
今の環境だと烈破はちょっときついような‥不沈にしておけば、まだ可能性があったのかなと思いましたキョロキョロ

ちなみに負けた直後に、床に吐かれていたガムを踏んでしまって非常に怒りましたムキー
削らないと取れないので本当にやめてほしいです。


その後は、自分のブログを見てくださっている方と野良対戦をさせていただきましたおねがい
結果は‥負けでした\(^o^)/
デッキの相性は悪くなく、アビ運的にも同じかこちらの方が良かったくらいでしたが、完全に読み負けてましたガーン
立ち回りが縛られやすいデッキを使うと、どうしても自分の動きを相手に読まれやすくなってしまい、嫌なところを狙われてしまいますね。
また一つ勉強になりました(^^;

対戦ありがとうございましたm(__)m


ちなみにプロモパックはビグザムが当たりました爆笑


あとはついでに、大会後にレイドバトルをしていたらスイクンがゲット出来ました笑ニヤリ



長くなりましたが本日はそんな感じでした。
それではまた。

刹那情報盛りだくさん!


 

 

 
 
百鬼夜行企画作品です。少し残酷な描写がありますのでご注意を。(血の表現が苦手な方など。)
ギリギリ間に合いませんでしたので、慌てて今これを書いてます。
ヘッダーもすごく素敵で、参加できてとても嬉しいです!!
 
素敵な企画、ありがとうございます!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝は誰にでも平等に訪れる。

変わりのない日常に埋没され、同調し、皆個性を失っていく。

今日も普通の暮らしに紛れながら、異形のものが暮らしている――

 

 

 

「先週月曜日、山谷高校の女子生徒が行方不明となった事件ですが、未だ失踪した原因は分からないまま捜査が続けられています。なお、部屋が荒らされている痕跡もなく、何かを持ち出した形跡もないことから、神隠しにあったのではないかという噂も流れており、原因解明に向けて現在も周辺の聞き込み調査やDNA鑑定をーー」

 

 

**

 

 

「おはよう。葉月さん」

 

眩しいほどに、にこやかな表情を浮かべて話しかけた少女、三上鈴(みかみ すず)は、一か月前に席替えで隣同士になってから、時折話しかけてくるようになった。葉月が授業でペアを作るときに一人でいると声をかけてくれる、とても優しい、いい人だ。

 

「最近、暑くない?葉月さんは大丈夫?」

「まあ、一応……」

「そっか!良かった」

 

挨拶程度の会話を交わすと、三上は普段いるグループの元に戻って行った。三上は教室内でかなり慕われている。けれど誰にでも平等に優しく、たとえ同級生から遠巻きにされている人間でも気に掛けてくれるため、おかげで葉月も助かっている。

 

世間はここ、三谷高校で起きた女子高生失踪事件で大騒ぎしていて、たまにマスコミが取材しに来ていた。失踪した女生徒はどうやら三上のように明るくて可愛らしい女の子ではなく、どちらかというとクールで近寄りがたい美人だったらしい。ただ、テレビに映る写真はたしかに表情がなく暗かったものの、とても綺麗な少女だった。

 

チャイムの音が鳴った。

授業が始まると、先生の話が子守歌のように聞こえる現象に苛まれるが、今日も案の定お経のようにしか聞こえなかった。それでも何とか意識を保とうとしていると、窓の外にちらりと金色が見えた。

 

 

それはよく見ると人の頭で、男子たちが楽しそうにサッカーをしているところを、グラウンドの端で眺めている男の子がいた。制服を着たままで、木陰に座ってじっとサッカーをしている同級生を見ている姿はどこか滑稽で寂しげで、珍しい髪色もまた異質に見えた。

遠目に見ただけでは表情までは分からなかったが、窓から見える姿は儚げで消え入りそうだった。

 

「ねえ。葉月さん。もしかして、あの人のことを見ているの?」

 

いつのまに授業が終わっていたのだろうか。突然話しかけられて内心飛び上がるほど驚いてはいたが、やはり顔には出なかった。表情筋は錆びついたように動かなくて、反応が遅いのかいつも周りから追いていかれる。

 

「えっと、なんのことかな?」

「授業中ずっと窓の外見ていたでしょう?ほら。あの木陰のあたり」

 

三上が指をさした方向には、あの金髪の少年がいた。先ほどまでは一人だったのに、今は女生徒に囲まれて楽しそうに談笑している。

 

「あの人は伊坂翠(いさか すい)くんっていって、この間転校してきたんだよ。父親がフランス人とかアメリカ人とか、色々言われているんだけど、あんまり両親のことは話したがらないらしいよ。本人曰くハーフで髪は生まれつき。父親の転勤でこっちに越してきたんだって!」

「あ、そうなんだ……」

「もしかして、葉月さんって、あの人のこと好きなの!?」

「そ、れはどうかな……」

 

思っていた以上に三上がぐいぐい来るので引いてしまったが、はっきりと否定してしまうのもどうかと思って曖昧に返事をすることにした。正直言って名前すら知らない。どうしてか女の子は、すぐに恋バナというものに持っていこうとするから、やはりちょっと苦手だ。

 

「三上さんは、好きな人とかいるの?」

「あー、実はいるんだけど、誰にも言ってないから内緒にしてね。今転校生の伊坂くんの隣にいる人で、山中蓮くんっていうんだけど……」

「へえ。そうなんだ」

「すっごく優しくて素敵な人なの!だから伊坂くんも素敵な人だと思うよ!」

「あ、うん……ありがとう」

 

名前すら知らなかったけれど、目を輝かせて好きな人のことを話す三上は、少し羨ましいような気がした。

そうしてチャイムの音に助けられて、いつの間にやら始まっていた恋バナから逃れることができた。それでも喉の奥に刺さった小骨のように、先ほど見た光景が頭のなかに残っていた。窓の外を見ると、もうそこには誰もいなかった。

 

 

下校時刻。葉月はすぐに教室から出て、足早に家へと向かった。

特に一緒に帰る友達もいないから、今日も真っ先に下駄箱に向かう。校門を出ようとしたところで後ろから声を掛けられた。振り向くとそこにいたのは今朝方見た伊坂で、関わることはないだろうと思っていたため、思わず二度見してしまっていた。

 

「ねえ、きみって、隣のクラスの葉山さんだよね?」

「……そうですが」

「あぁ、良かった。この前教室の前を通ったら窓際に座っていたから、きっとそうだと思っていたんだ!」

 

そう言って嬉しそうに頬を緩める伊坂は,グラウンドで見かけた時は近寄りがたい雰囲気のようにも思えたが、どちらかというと人懐こい雰囲気のように見えた。

目も鼻も口も顎も、顔のすべてのパーツが整っていて、日本人離れした綺麗な男の子だ。対する葉月は、長い前髪に眼鏡、マスクで顔を隠していて、地味で目立たない格好をしていた。今話しているだけでも目立つのではないかと、つい目線が彷徨ってしまう。

 

「どうかしたの?」

「いや、えっと、私に何か用ですか?」

「最近物騒でしょう?葉月さんが下駄箱から出るのを見たから、後を追いかけてきたんだ。良かったら家まで送ろうか?」

「えっ……いや、そこまでしてもらわなくてもっ」

「今一人で帰るのは危険だよ。変質者の仕業っていう噂もあるし、俺も今日は一人だから」

 

意外と強引なところがあるのか、隣を陣取った伊坂は、葉月の手首をつかんで引っ張った。その力が思いのほか強かったから驚いたが、それ以外に感じた違和感の正体は、霞みがかっていてよくわからないものだった。

 

「あっ…ごめん!痛かった?」

「いえ、そうでもないので大丈夫です」

「良かった。あ、そうだ!これからもし一人なら俺が送ってあげようか?」

「えっそれは……」

 

強い力で手首をつかんで引っ張ったが、すぐに慌てた様子で手首を離した。手首には薄らと痣ができていた。けれどそれほどの痛みはなく、寧ろ突然の提案の方に戸惑いを隠せなかった。こういうことには慣れていないから、どう対処すればいいか分からない。マニュアルがあればよかったが、残念ながら世界中を探してもないだろうと、つい途方に暮れてしまった。

 

「ごめんね、困らせちゃったね」

「大丈夫です。ちょっとびっくりしただけなので……伊坂くんこそ、大丈夫ですか?」

 

 

伊坂はまだ歩いて十分くらいしか経っていないのに、異様なほど汗をかいていた。身体から湯気が出ているのではないかと思われるほど顔が赤く、耳から首筋まで桃色に染まっていた。

 

本人も今気がついたらしく、自分で自分の額をさわり、思いの外熱かったのかすぐに手を離した。

 

 

「大丈夫だよ。俺暑さに弱いからいつもこうなんだ。帰るだけで熱が出そうになるなんて困っちゃうね」

 

誤魔化すように笑い歩き出してしまったが、足元はおぼつかず頼りなかった。高熱で身体を動かすのもやっとという様子で、呼吸も荒い。

 

あまりにも辛そうで見ていられなかったため、家まで送ろうかと提案すると、本当はバスで通っていて、ここから反対方向なのだと知った。なぜ初対面の人間にそこまでするのだろう。

 

葉月は伊坂のことを覚えておらず、ましてや今日まで存在すら知らなかった。もし知っているとするならば、それはーー

 

 

「あの、葉月さん。もし良ければなんだけど、一度葉月さんの家で休ませてくれないかな?少しだけでいいんだけど」

「えっ私の家で、ですか?たぶん、大丈夫だとは思うけど……」

「少しだけでいいんだ。ごめんね、迷惑かけてしまって」

 

一応はお世話になっている人たちに迷惑はかけたくなかったが、今目の前で苦しそうにしている人を見捨てることもできない。

肩を貸して一先ず家に連れて行くことにしたものの、体重がかかると歩きづらく、いつもより何倍も距離があるような心地になった。

 

家はもうすぐそこの筈なのに、陽光がじりじりと照りつけて汗が張り付き、粘ついた汗が身体に纏わり付いているようで気持ちが悪い。

 

伊坂の身体は沸騰しているのではないかと思うほど熱くて、着いた頃には、互いの汗が混じりシャワーを浴びた後のようにびしょ濡れになっていた。

 

 

「ごめんね。迷惑かけちゃって。ちょっと休んだらすぐ帰るから……」

「ベッドがあるから、そこ使っていいよ。熱が高いから少し寝れば良くなるかもしれないし」

「ごめんね。本当に」

 

 

案の定家には誰もいなくて、葉月は空いている部屋にどうにか伊坂を連れて行った。蒸し暑い部屋はあまり掃除されてないのか埃っぽく、窓を開けると蝉の音が響いて余計に暑くなったような心地がした。

 

「伊坂くん、大丈夫?何か冷たい物でも持ってこようか?」

「いや、水だけもらうよ。これ以上迷惑かけるわけにはいかないからね」

「わかった。すぐ持ってくるね」

 

慌てて部屋を出るとドアが軋んだ音を立てた。築何十年も経っていそうなこの家はいまどき珍しく木造で 、廊下も歩くだけで軋んだ音を立てる。

 

あまり裕福ではないから質素な暮らしをしているけれど、人並みな生活ができるくらいで満足だった。

 

「ありがとう。このお茶おいしいね」

「麦茶です。冷蔵庫にそれしかなかったので。他には……」

「いや、もういいよ。こんな筈じゃなかったんだけど、暑いのは苦手でね。折角やっていけそうだったのに、こんなに自分が、弱い人間だとは思わなかったよ」

 

呼吸はまだ苦しげだったけれど、声は淀みなく澄んでいて、川のせせらぎの音に似ていた。耳を澄ましてずっと聴いていたくなるような声で、少し高めの声音が丁度よかった。

 

「情けないなぁ。いつも僕ってこうなんだ。守ろうとすると守れなくて、守られたことなんてなかったのに、結局守られてしまってる」

 

沈黙が流れた。伊坂の目がこちらを見る。

熱のせいか視線が焦げたように熱く感じる。頬に触れた手が、クーラーの効いた部屋にいたせいか、ヒヤリと冷たい。

それなのに汗が乾いていないのか、頬に手のひらが張り付いたような感触がした。

肩がこわばり、離れようとするものの、身体は凍り付いたように動かなくなった。

 

「葉月さん」

 

名前を呼ばれた。言葉が熱を持って、心の隙間に入り込むような心地がする。

口が開く。思わず目をつぶると、耳元で声がした。

 

 

――――好き。

 

 

頭が真白になる感覚を味わったのは初めてだった。耳がしびれるような感覚に襲われ、肩に乗せられた額から、熱が伝わり、頬にまで朱が上った。

 

「い、伊坂くん?」

 

しばらく待っても、返事がない。可笑しいと思い背中に触れると、粘着質な手触りがした。手が粘液のような液体に触れる。よく見るとベッドも、粘液のようなもので濡れていた。

 

「……なんだ。そういうことか」

 

微かに苔のような匂いがした。窓の外でカラスが鳴いた。笑いたいのか泣きたいのかわからず、ベッドに伊坂を寝かして部屋を出た。振り返ると、寝息を立ててよく眠っていて、汗をかいている様子もなく、涼しげな顔をしていた。

 

結局、眠ったまま起きる気配がなく夜になり、明日は休みだったので泊まることになった。もうすっかり日が暮れていて、時刻は九時をまわっていた。義理の両親も仕事で夜まで帰って来ない。恐らく飲み会にでも行っているのだろうが、それは知ったことではなかった。

伊坂は申し訳なさそうにしていたが、何か言いたげな顔で葉月を見た。

 

「……どうかしました?」

「なんでもない。ごめんね」

「別に、大丈夫です。」

 

葉月は素っ気なく言うと、足早に部屋を出た。さっきから謝ってばかりだなと、知らずため息を吐いていた。

 

 

 

 

 

葉月は隣の部屋で寝ていた。物音がして目を開けると、僅かにドアが開いていて、そこから廊下の光が漏れていた。

顔を上に向けると、目の前に横に裂けた口に大きな目玉があった。それを見ても、あまり葉月は動じなかった。手足が短く、身体が粘液のようなもので覆われている。

 

妖怪の世界では、人に近いほど地位が高く、強い妖力を得ることができる。葉月はあちらの世界では地位も名誉も美貌も、すべてを擁した妖怪だった。常に地位や名誉を欲する男から、ありとあらゆる献上品を捧げられ、群がられ、その地位を、名誉を、美貌を欲せられた。女からも賛辞や称賛を受け、敬われていたが、陰では疎まれ嫉妬され、煙たがれることも多かった。

 

葉月は感情を表に出すことが苦手で、無表情になりがちだった。本人は感謝しているつもりでも「傲慢だ」と言われ、楽しいと感じていても「つまらなそうだ」と言われ、悲しんでいても「何も感じていない」と言われた。

 

そんななかでも、葉月には唯一の親友がいた。葉月の世話係をしていた妖弧で、よく笑う無邪気な女の子だった。両親にも理解されなかった葉月にとっては、自分を理解してくれる只一人の存在だった。

だが、ある日妖狐は葉月に言った。

 

『むかつくの。その人を見下したような目。どうせ、心のなかで笑っているのでしょう?』

 

冷たい声、冷たい目。

心のどこかで開いていた隙間は、何百年もの時を経て、いつの間にか修復しようがないほど膨らんでいた。

 

葉月が人間界に出たのは、見切りをつけたかったからだ。

自分を誰も知らない世界で暮らしてみたいと思ったからだが、なるべく目立たないよう前髪で顔を隠し、眼鏡をして過ごしていたが、それはあまり意味がなく、結局は何も変わらなかった。

 

目の前の妖怪は、一つ目で人型を形成しておらず、明らかに下位の妖怪である。ただ、人型に擬態するにはそれ相応の妖力がいる。世間を賑わす『女子高生失踪事件』と、関わりが全くないわけがなかった。

 

妖怪の世界の掟では、人を喰らうことは禁じられている。人と妖怪はもう何百年も前から共存していて、稀に人間を攫う妖怪もいたが、喰うことは滅多にない。

 

――けれど、現に目の前にいるのだ。

本来人型になれないはずの、妖力の少ない一つ目の妖怪が。

 

 

 

 

 

「私を、食べに来たの?」

「…………え?」

 

目の前の妖怪の色が、緑からみるみる桃色に変わった。

 

「あの事件も、貴方でしょう?私を食べれば、それ相応の妖力が手に入る。だからここに来たのでしょう?」

「ち、違います!ほ、本当に、違うんです!」

 

かと思えば、桃色から真っ青になった。忙しなく色が変わる。急いで転げ落ちるように上から飛びのいた一つ目の妖怪は、短い脚を折って地面に座った。

沈黙が続く。葉月が口を開こうとすると、先に一つ目の妖怪、伊坂が躊躇いがちに口を開いた。

 

「たしかに、あの事件を起こしたのは僕です。彼女は探しても出てきません。だって、もうこの世にいませんから」

 

語尾が震えていた。真っ青になった身体の色は戻らず、昼間見せた姿が嘘のように縮こまっている。

 

「僕はあちらの世界では、醜い、気持ち悪いと言われ、道を歩くだけで石を投げられ、住処の川にごみを捨てられるような、忌み嫌われる存在でした。僕の容姿を見ればわかるでしょう?どの妖怪よりも人から遠く、蔑まれ、存在するだけで目の敵にされたんです!」

 

真っ青になっていた身体が、一瞬赤く染まり、ブルブルと震えていた。けれどすぐに引いていき、また元の色に戻った。感情が変わるたびに色が変わる様子が分かりやすく、葉月とは正反対だった。

 

「どうして、この高校に来たの?」

「……貴方に、会いたかったからです。」

「でも私、貴方のこと……」

「覚えてなくてもいいんです。何百年も前の話です。貴方だけは、僕を蔑みも憐れみもしなかったんです。だから僕は、貴方に会うためにここに来ました。」

 

そう言って、伊坂は跪いて葉月に右手を差し出した。物語の王子のように、およそ王子には見えない異形の姿で、恭しく手を差し伸べる。

 

「僕は、やってはならない罪を犯しました。殺すつもりはなかったなんて、言い訳にすぎません。僕がやったことは大罪です。許しを請おうとは思いません。貴方がこの手を取らなければ、僕はあちらに戻り自首をします」

 

差し伸べられた手は、水かきのようなものがついていて、指が欠けて四本しかない。

 

どうしてわざわざここまで来たのか、葉月には分らなかった。人を喰らうなというのは、妖怪の世界では絶対の理で、人と妖の世を均衡に保つための重要な決まりだ。

それを破るということは極刑に値する。何百年も幽閉されるか、惨たらしい拷問を受けた上で死刑に処される。

 

 

葉月がまだ物心がつかないほど幼い頃、その光景を見た。

 

大きなドームのような建物のなか、一匹の美しい妖怪が立っている。周りを取り囲むように座る数々の妖怪たちが、手を叩きながら嬉々としてその光景を眺める。

会場の高いところ、ガラス窓を隔てた場所に、葉月はいた。一匹の美しい妖怪は、銀色の髪を持つ人型の妖怪だった。何者も焼き尽くす地獄の業火、身体を刻む鋭い幾千本の棘、足の速い二匹の馬の妖怪に繋がれた丈夫な縄。ありとあらゆる道具がそろったその会場で見たのは凄惨な光景だった。

人々が野次を飛ばす。誰一人として目を背ける者はなく、皆叫び煽った。

 

「自業自得だ」「禁忌を破るのが悪いのだ」「胴を割いても死なぬとは、悍ましい!」

 

磔にしろ、火炙りにしろ、針の筵にしろ。苦しむのが当然だと言わんばかりに、皆声をあげて罵り、ざまあみろと笑い、蔑みの目を向けた。

 

「怖いよ。お母さん、お父さん。」

 

見上げた父と母に、震えた小さな声は届かなかった。何の憐みもない瞳で、惨たらしい罰を受ける妖怪を見ている。断末魔の叫び声に耐えられず、葉月は唇を噛みしめて耳を塞いだ。

 

「胴を割かれても死なないなんて、しぶといわね」

「禁忌を犯したんだ。これぐらいで死なれても困るだろう」

「晒し首にしましょう。二度と繰り返されないようにしなくては」

 

父と母は無感動に眺め、そして葉月の頭を撫でた。

 

「悪いことはしちゃだめよ。お父さんとお母さんの言いつけをきちんと守っていれば、あんな風にはならないからね」

 

悪い子は何をされても同情の余地などない。悪い子は死んで当然だ。苦しんで当然だ。悪い子には罰を与えなくてはならない。

すべてが結果だ。過程は関係がない。何を思ってやったのか、どうしてそこまで至ったのか、その過程は何も慮られない。

 

その言葉は消えない呪縛となって、葉月を縛った。盲目的に両親を信じ、決して疑わず、教養と呼ばれる稽古や学業に励んだ。

がんじがらめに縛られて、息もできなくなったころ、葉月はあちらから抜け出した。

 

大きな一つしかない目が、葉月を見る。差し出された手を取るか取らないかは、葉月が決めることだ。

信じることは怖かった。また裏切らるのが嫌で、結局は特別な相手を作らなかった。もう、どれくらい月日が流れたかも忘れてしまった。

 

妖怪は、何百年もの時を生きる。なかには数千年も生きる妖怪もいる。

 

特に理由もなく平凡に日々を過ごし、埋没されながら生きていた。それを望んでいたはずだった。誰も信用せず、心を許さず、揺蕩うように生きる日々を。誰からも余計な詮索をされず、押し付けられず、求められない日々を、求めていたはずだった。

 

 

目の前には、醜い一つ目の妖怪がいる。妖怪のなかでも忌み嫌われている存在。その手を取れば、彼は目を見開いて唇を震わせた。唇が「どうして」と動く。葉月は無言で揺れる目を見た。

 

「……僕は、罪を犯しました。殺すつもりなんてなかった。貴方を一目見れればそれでよかった。けれど、僕は殺し、喰らいました。それは、決して許されない、罪なのです。あの日から、僕は……」

 

 

今でも、彼は夢に見る。目の前で少女が襲われている。姿を見せれば恐れられることを忘れ、醜い姿のまま飛び出した間抜けな自分。襲っていた男が立ち去っても、少女の顔にこびりついた恐怖が、剥がれることはなかった。

 

『来るな!化け物!!!』

 

目を見開いて自分を見る、少女の姿。

 

 

その刹那

 

少女が、消えた。

 

 

目の前に広がる、赤、赤、赤。

 

赤く染まった自分の手。少女のいた痕跡を、すべてを、消した。この手で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの日から、僕は本物の化物になったのです」

 

 

 

 

沈黙が訪れた。それを破るように、葉月は強く手を握る。べちゃべちゃとした手は、綺麗なものではなく、不揃いの指が並んでいる。

けれど人の不幸を喜び、嘲り、蔑ろにするような場所で晒し者にされ、「ああはなりたくない」と思われるような、『悪い子』ではないはずだった。一緒になって同調し、他者を蔑み罵倒する個人の方が、よほど醜く恐ろしい。

 

「貴方は、生きてください。自首して楽になろうなんて思わないで。生きて、ずっとその罪を背負って、償ってください。私と一緒に真っ当に生きて、一生罪を忘れないで。貴方はきっと、それができる人です」

 

「…………はい。」

 

か細く、消え入りそうな声だった。

 

化物になった妖怪は、目に涙をため、粘液で粘ついた身体をさらさらとした涙で濡らした。

 

 

 

その日、彼は悪夢を見なかった。

代わりに、生まれて初めて幸福な夢を見た。

 

 

夢のなかでは、世にも美しい少女がほほ笑み、彼に向かって手を伸ばした。彼はその手を取って、煌々とした光に向かい、歩き出す。

 

 

生涯一度きりしか見なかった、とても幸福な夢だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分を愛してくれる特別な誰かを探していた姫は、王子に出会う。

王子の皮を被った妖怪は、けれど誰よりも王子らしく、姫に向かって微笑んだ。

 

「僕は、貴方を愛しています」

 

愛情に飢えていた二人は、互いに互いの手を取り合った。

 

互いに互いを守りあい、消えない咎を抱きながら――

 

 

 

 

 

――

 

 

 

お読みいただき、ありがとうございます!

つい後回しにしがちで、書けないのですが、なんとか納得のいく終わり方になりました。←嘘ですごめんなさい、後半はもう少し書き込みたかったですが、締め切りは絶対なので。

 

間に合わなかったので、慌てて公開してから書いてます。

 

苦手な方はごめんなさい。

また、企画等ありましたら、書こうと思います。良ければコメントください。不慣れなので、お手柔らかにお願いします。あまり読み返しできてないので、誤字脱字等は教えてください。

 

追記ですが、ワードで数えたら四捨五入して、約8700字でした。

 

公開した後も若干直してます。企画効果か、前回も長いのに読んでくださる方が意外といらして、すごく嬉しかったです!!

 

それでは、また!

 

 

 



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